忘れやすい日々のための映画ブログ

忘れっぽいので、過ごした日々・趣味の時間を大切にしていきます。

15時17分、パリ行き/君はAKに突撃できるか?

この映画を一言で言うと、「そんなことあるわけない」の連続なんです。

映画としてみたら興ざめシーンで成り立たない。でも実話なんです。

事実は小説より奇なりと言った人をあらためて尊敬する、そんな映画です。

 

実話の映画化なのですが、リアルタイムでニュースを読んでおり、
「パリ行き列車に米兵が居合わせて未然に防ぐという」まさに映画のような話で、当時は「そんなことあるのか」と驚いた記憶があります。日本で海外の兵隊さんが偶然電車に乗り合わせて、テロを未然に防いだと考えると奇跡のように思えます。
それから少し経ったころに「クリント・イーストウッドが映画化」という記事を見かけました。
そのまた後に「知るべきではなかった本作に関する情報」を知ってしまうのです。

1行目に書いた理由以外でなぜ観に行ったのかというと、
「実話ベースの話をどうやって引き伸ばすのか」というのを観てみたかったからです。
尺自体は94分と長くはありませんが、実際の出来事はそんなに長くはなかったと記憶していました。

映画自体はテロを防いだ3人の主人公たちの幼少期から始まり、成人してからはロード・ムービーになります。幼少時はなぜか「バタフライ・エフェクト」を思い出しながら観ており、ロード・ムービーは「ビフォア・サンライズ」のようで楽しめました。途中途中に列車のテロシーンを挿入してきます。
「これ、ロード・ムービーじゃないよ」というクリント・イーストウッドからのメッセージだと思って観てました。


幼少期の主人公たちは優秀というより問題児扱いをされていました。3人のうちの1人、スペンサーは進行があるようで「私を平和の道具として使って下さい」と祈っているシーンがあります。
スペンサーとスカラトスの2人は軍隊に入隊しますが、事件で活躍したスペンサーは本来なりたかった「パラレスキュー」という仕事には就けません。軍隊でも落第した人が集まる部署に入隊させられます。そこでもいまいち評価を受けません。にも関わらず、事件を防ぐわけです。

 

旅の最後に訪れる列車シーンは圧巻でした。なぜかっていつの間にか彼らと旅をするその列車の乗客気分になっているからです。その前に流されているロード・ムービーが効いているんだと思います。「ビフォア・サンライズ」のようなカップルのストーカー的視点ではなく、4人目の友達的な視点なのでなおさらです。
まず最初にAK47持ったテロリストに立ち向かった最初の人に拍手を贈ります。咄嗟のこと、ではありますが、逃げるって言う選択肢もあったと思うんです。でも立ち向かう。これは少なくとも私にはできることではないです。で、背後から拳銃で銃撃を受けます。慌てて逃げ惑う人たち。
そして3人、というか実施的にはスペンサーの出番です。
奇跡その1
突進したスペンサーに銃を向けますが、AKがジャムって弾がでなくなります。
これはもはや奇跡です。でもね、AKに突撃できます? しかも列車の中ですよ。通路1本しかないよ。外しようがないやん。座席なんて余裕で弾貫通するし、とかって考えて絶対動けないと思うんですよ。でもね、スカトラスの「いけスペンサー!」的な掛け声で突進するんです。これほんとすごい。心臓が少し止まった。映画なら「そんなことあるわけない」なシーンですが、事実なんですよね。
奇跡その2
で、もみ合ったタイミングで重なるように座席の上に倒れ込みます。下になったスペンサーの頭に向けて、テロリストが拳銃を突きつけて引き金を引くのですが、直前に何か外れたのか、はたまたジャムったかでまた弾が出ない。こんなことありますか。「あー、スペンサー死んだなー」となるところで死なない。これも映画なら「そんなことあるわけない」なシーンですが、事実なんですよね。
奇跡その3
犯人はナイフでスペンサーのクビを切りつけ始めます。何度も何度も執拗に切りつけてきますが、頸動脈は無事でした。

スペンサーにとっては3つの奇跡が重なったというわけです。
乗客にとってはスペンサーがいたという奇跡。「奇跡4つ入りましたー!!」的にここまで奇跡が重なると奇跡の暴落が起きそうです。

そしてオランド大統領に表彰されるんですけど、ここで冒頭で話しをした、私が「知るべきではなかった情報」を知らない人は1,800円の鑑賞券のうち、800円分くらいの驚きを味わいます。
なんと映画に出ていたのは本人たちなのです。私はニュースで知っていました。だから1,100円で観れる映画の日に観に来たんです。
みんなフランスで表彰され、アメリカでもパレードを受けます。こういうみんなで褒め称える感じいいなーと、サドラーはラッキーだな!という感想を持ちつつ映画が終わります。