忘れやすい日々のための映画ブログ

忘れっぽいので、過ごした日々・趣味の時間を大切にしていきます。

田舎の行く末/プロミスドランド

 

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/f/fd/Promised_Land_Poster_%282012%29.jpg

↑『ゴーンガール』っぽいジャケ。

 

『グッド・ウィル・ハンティング』(97年作品!?)以来のガス・ヴァン・サント映画。当時、中学生だった僕は友人2名と『グッド・ウィル・ハンティング』を観に行くも、ミニー・ドライバーがなぜ泣いているのか理解できず。。

友人のひとりは爆睡。もうひとりは口をあんぐり開けて何が起きているのか理解出来ていない模様。観終わったあとに寝ていた友人の自転車が盗まれていたことも覚えています。

 

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ということであれから18年以上。

マット・デイモンベン・アフレックも優秀な俳優や製作者に。 

前置きが長くなりました。

 

ストーリー

大手エネルギー会社の幹部候補であるスティーヴ(マット・デイモン)は、

マッキンリーという農場以外はなにもない田舎町に、

仕事のパートナーのスー(フランシス・マクドーマンド)とともにやってくる。

マッキンリーには良質のシェールガスが埋蔵されており、近年の不況に大きな影響を受けた農場主たちから、

相場より安く採掘権を買い占めるためだった。スティーヴは町の財政再建の救世主として迎えられたが、予期せぬ障害に行く手を阻まれる。(公式サイト)

 

個人的オススメ7/10

こんな人におすすめ!

・田舎出身で田舎が嫌いな人

・田舎に帰らないことで(都会にいることで)自分を保っている人

・自分の仕事に疑問を感じている人

・人間の心を取り戻したい人

マット・デイモンの人の良さが出ており、心から共感できてしまう。

これがオーランド・ブルームだとちょっと違う。

 

心温まるハートフルムービー。誰も傷つかず、大切なコトに気づける。

映画の中に答え=正解はないが、それはいつも自分の心が決めるもの。

 

以下ネタバレ。

主人公のスティーブはガス会社のエリート。実績を相当積み上げている幹部候補。

そんな彼がアメリカの田舎町マッキンリーにやってくる。目的はシェールガスの採掘。

おそらくここに来るまでにマッキンリーのような町をたくさん買収?してきたのだと思う。

 

この映画のポイントは3つ。

・主人公自身が田舎町の農場出身ということ

シェールガス採掘が安全ではないこと(現実に100%なんてないけれど)

・この町の行く末は描かれない(観客に丸投げ)

 

実はこのスティーブ自身が田舎町の農場出身。貧乏生活を強いられたつらい過去がある。そんな彼が次々に町を買収していく。

シェールガスを採掘することで、町にはお金が入る。お金が入ることで(一時的かもしれないが)町が潤う。

住人との会話で『子供の大学までの学費も支払える』という場面もあり、自分のように苦労してほしくない、という気持ちがある。

彼がこの仕事についたのは偶然かもしれないし、そうじゃないかもしれない。それは描かれていないが、ある意味天職である。

http://blog-imgs-64.fc2.com/s/i/n/sinema652/DSC_3605.jpg

※その想いが強すぎるせいか、主人公も自分が気がつかないうちに超絶上から目線になっている。 住民からしたら唯一の道なんてねーよ、という感じだろう。

とはいえ冒頭から住民との契約はトントン拍子に進んでいく。ヒロイン的な町の美人教師ともちょっといい感じに。

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※この女性も教師をしているのに、親が遺した農場を捨てきれないでいる主人公に近い立場の人間。

 

しかし住民とのタウンミーティングで町の権威(MIT出身でボーイング社で働いていた真っ当な老人)から採掘方法の危険性を刺されたあたりから、話が変わっていく。

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スティーブ自身が『俺のやっていることは正しいのか?』という疑問を頂き始めるからだ。※埋蔵シェールガスの採掘方法:


  

そこにダスティンと呼ばれるイケメンの環境活動家が登場。

http://promised-land.jp/images/kt_pt_cast2.jpg

シェールガスの危険性を住民に説きつつ、圧倒的なコミュニケーション能力で反対派を拡大させていく。懇意にしていた女教師も(寝?)取られる涙。

 

主人公は追い込まれ苦戦するが、会社からダスティンの使っていた資料が嘘だったという証明書が送られてくる。

ダスティンは町をさることになるのだが、そこで会社の同僚ということが判明する。

タウンミーティングでやらかした主人公を見かねた会社が送り込んでいたのだった。

片方(反対派)に大きくふらせて、また戻す(賛成派)という振り子戦略的な感じですね(そんな戦略あるか不明)。大会社こえーよ!!

 

その事実を知ったスティーブは会社をやめます(正確にはクビ)。しかしその表情は晴れ晴れしている。

最後は女教師の家に行ってエンド。たぶん一緒に農場でもやるのではないかと。一見するとハッピーエンド。

 

でも結局貧乏なこの田舎町の行末は描かれない。きっとまたスティーブの変わりか、別な会社が買収にくるだろう。

数十年後には自滅しているかもしれない。でも何もわからないまま終わってしまう。

 

完全主観/スティーブについて

僕の主観ですが、スティーブは過去に対する復讐をしたかったのかもしれないなと。

ちょっと穿った見方だが、彼は自分の過去と向き合わないで済む方法をとりたかったのかもしれない。

シェールガスを導入して町を破壊するかもしれない危険性を認識しつつも、会社はそうは言っていない。

それをいいことに、過去=田舎を消し去るという方法を取っているんじゃないかと。住民も目の前に金につられる人間が多くて、ばっかだなあという。

でもそうじゃない人たちもたくさんいて、いろいろ気付いて、結局は過去と向き合うことに決めた、という話。穿ち過ぎですね。